IKEAやフライングタイガーが生まれた本当の理由。北欧デザインで作る生活

2026.01.31 Sat

北欧の暮らしに惹かれ、初めてデンマークやスウェーデンの街を歩いた頃のこと。ショーウィンドウに並ぶ名作椅子や、温かな光を放つ照明器具は、ため息が出るほど美しく、そして当時の私には少しばかり「遠い存在」でもありました。

デパートの高級家具を前に、何度も財布と相談し、結局は何も買わずに店を後にする。そんな経験は私だけではなかったはず。
「ウインドウショッピング」という言葉は、まさに当時の北欧のためにあったのではないか。そう感じるほど、本物のデザインは高価で、手に入れるにはそれなりの覚悟が必要でした。

けれど、そんな北欧から世界を変える革命が起きました。1943年、スウェーデンで産声を上げたIKEAです。

「デザインが良く、機能的で、品質もいい。それでいて、誰もが手に届く価格であること」

このシンプルな思想は、かつてリメイクや中古品で工夫を凝らしていた若者や子供たちの暮らしに、大きな光をもたらしました。憧れを「いつか」にするのではなく、「今日」から使い始める。それは単なる安売りではなく、暮らしを楽しむ権利をすべての人に開放するという、北欧らしい民主的な哲学の現れだったのです。

近年、その精神はさらに軽やかに進化しています。私が注目しているのは、デンマーク生まれの「ソストレーネ・グレーネ」や「フライングタイガー」といったブランドです。

ソストレーネ・グレーネの背景には、アンナとクララという架空の姉妹の物語があります。「多様さは日々の暮らしにスパイスを与える」という彼女たちの言葉通り、そこには、高いお金をかけずとも毎日を彩るための小さな工夫が溢れています。一方、フライングタイガーが掲げる「豊かな生活に高いお金は必要ない」というメッセージも、今の私たちに大切なことを思い出させてくれます。

世界的な物価高が続き、何かを諦めることが増えた今だからこそ、私たちは「豊かさの定義」を問い直しているのかもしれません。

高い家具を一つ買うことだけが豊かさなのではなく、手頃な雑貨で家族との会話を弾ませたり、色彩豊かな小物で心に驚きを与えたりすること。そんな「お財布に優しく、心に贅沢な」選択肢が、これからの私たちの日常をそっと支えてくれるのではないでしょうか。

身近なデザインから生まれる小さな喜びを、まずは大切にしてみる。 そんな一歩から、新しい心地よさが始まっていくのかもしれません。

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