石の上に家?ポルトガル・モンサントの“石の村”

2025.10.25 Sat

実は、ポルトガルには“12の珍しい村”があることをご存じでしょうか。
今回私が訪れたのは、その中でも最も印象的だったモンサントという村です。

旅は北部から始まり、少しずつ南へと下ってきましたが、モンサントの景観はこれまでに見たどの町とも違っていました。大型バスで登るのも一苦労なほどの高地にあり、まるで山の上にそのまま張り付くようにして家々が建っています。

この村の最大の特徴は、“石と共に暮らしている”こと。
巨大な岩の下や間に家が作られており、まるで岩が屋根の一部になっているかのようです。ポルトガルの乾燥した気候の中で、緑が映えるのはオリーブやコルクの木。石造りの家並みの合間に、古いギャラリーや手仕事の店がひっそりと並び、どこを切り取っても絵になる風景でした。

中には「どうしてここに家を建てようと思ったのか」と思わずため息が出るほどの場所もあります。
けれどこの土地の人々にとっては、険しい地形も“暮らしの一部”。ローマ軍の侵略時には、岩の間に身を隠すことができたとも言われており、自然と共存しながら知恵を積み重ねてきた歴史を感じます。

そして、近くには6000年前に作られたというストーンヘンジの遺跡も。
観光地化されているわけではなく、ガソリンスタンドの裏手にひっそりと佇んでいました。Googleマップを見なければ通り過ぎてしまうほどで、「こんなに貴重なものがこのままで大丈夫?」と心配になるほどです。

こんな可愛らしいギャラリーもありましたが、外壁は石でずいぶん昔に作られており、屋根を拭きなおした形のところがほとんどで、冬場はかなり寒いのではないかと思われます。

華やかさではなく、人と自然が共に生きてきた“素朴な時間”を感じさせてくれる――
それが、モンサントのいちばんの魅力だと感じました。

関連記事

芳子ビューエル公式Facebookページ

北欧流ライフプロデュース術を発信していきます。
「いいね!」をお願いいたします。