デンマーク流の「常連」関係。同じ場所に通って見えるもの

2026.01.28 Wed

フランクフルトの夜、石畳の道を歩きながら向かうのは、ここ5年ほど通い続けている馴染みのイタリアンレストランです。デンマークのビジネスパートナーたちと海外出張へ出かけると、彼らの振る舞いにはいつも、北欧らしい「Hygge(ヒュッゲ)」の精神が息づいているのを感じます。

今回も、15、6回目になるその店へ。デンマーク人である彼らは、一度「ここだ」と決めた場所があれば、滞在中の毎晩をそこで過ごします。新しい店を次々と開拓するよりも、気に入った空間で、気心の知れたスタッフと再会することを何よりの喜びにしているのです。

思えば、かつて私にデンマーク流の付き合い方を教えてくれた元社長のレナート氏も、そして彼が20年前に見出し、現在は代表を務めるクリスチャンも、食へのこだわりは人一倍ですが、それ以上に「人との繋がり」を大切にしていました。

毎晩同じテーブルに座り、同じ顔ぶれのマネージャーと挨拶を交わす。すると不思議なもので、日を追うごとに心の距離が縮まり、彼らのサービスもどこか家族を迎え入れるような温かさを帯びてきます。

食事は前菜から始まり、メイン、そしてワイン。会話に花が咲く頃、運ばれてくるデザートは、夜を重ねるごとに豪華さを増していきました。最終日、テーブルに届いたのは、4人分とは思えないほど大きな皿に盛られたケーキやフルーツ。彼らなりの、精一杯の「おもてなし」の表現です。

正直に申し上げれば、あまりのボリュームに「到底食べきれない」と、残してしまうことへの罪悪感が頭をよぎることもありました。けれど、彼らが差し出してくれたのは料理そのものだけではなく、「共に過ごした時間への感謝」という目に見えない贈り物。

デンマークの人たちが大切にする、心地よい場所を自分たちの手で育んでいく姿勢。それは、効率や新しさを追い求める現代において、私たちが忘れかけている「自分軸の豊かさ」なのかもしれません。

一期一会の出会いも素敵ですが、あえて「いつもの場所」を作り、そこを慈しんでみる。そんな小さな積み重ねが、日常をより深く、鮮やかなものに変えてくれる。そんな気がしています。

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