給食に出た“鯨の竜田揚げ”はなぜ消えた? 3つの背景

2025.12.10 Wed

子どもの頃に食べた給食の味を、ふと思い出すことはありませんか?

私の誕生日に、娘と息子が私を寿司屋に連れていってくれました。
昨年と同じく、親子3人でゆっくり食事をしながら、近況をあれこれ話す大切な時間です。

その日テーブルに置かれていた手書きのお品書きに「鯨の竜田揚げ」の文字を見つけ、娘が「懐かしい!昔食べた気がする」と言うと、息子は「え?俺は一度も食べたことない」と返す。
そこから「え、給食で普通に出てたわよ!」と私が言い、
「年代の差だね!」と大笑いに。

調べてみると、商業捕鯨が禁止されたのは昭和62年(1987年)。
1962年には22万6千トンもあった捕鯨量は、2021年にはわずか2千トンまで減少しています。
給食で鯨の竜田揚げを味わったのは、いまの40代後半〜60代の世代が中心というわけです。

当時、鯨肉は不足しがちな動物性タンパク質を補える貴重な食材でした。
しかし現在は食文化がこれ以上ないほど多様になり、鯨肉は“必要だから食べる”存在ではなくなりつつあります。

捕鯨にはさまざまな議論がありますが、今の時代において大切なのは
「生態系のバランス」
「伝統文化の継承」
この2点が中心なのだろうと感じます。

築地の鯨肉卸は、いまやわずか2軒。
鯨肉を推奨するつもりはなく、ただ日本の食卓に実際に存在した食材として、一つの歴史を見つめたいと思いました。

鯨肉は、食べた記憶のある人にとって懐かしい味。
そして時代の流れとともに、これから“幻の食材”になっていくのかもしれません。

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