ヨーロッパで出会ったムール貝とザクロジュースの話

2025.05.28 Wed

北欧やヨーロッパを旅すると、食文化の多様さと奥行きに、毎回心が躍ります。
中でも私が個人的にとても好きなのが、ムール貝(英語では「マッスル」とも呼ばれます)。
デンマークやベルギーなどでは、初夏から夏にかけて旬を迎えるこの貝は、レストランでも家庭でも広く親しまれている定番料理です。

こちらの写真は、デンマークのレストランでいただいたムール貝料理。
白ワインベースのスープがなんとも風味豊かで、つい残ったスープにパンを浸して最後の一滴まで楽しんでしまいます。
初物が出回りはじめるのは、例年7月頃。ワインとの相性も抜群で、季節を感じながらゆったりとした時間が流れます。

特にムール貝を愛してやまない国といえば、ベルギー。
ここでは、たっぷりのムール貝に、必ず山盛りのフライドポテトが添えられて提供されるのが定番スタイル。
エシャロットとセロリをバターで炒め、白ワインで蒸し煮にされたムール貝は、深くて大きなお鍋ごとテーブルへ運ばれてきます。

面白いのは、ナイフやフォークではなく、最初に食べた貝殻を“ピンセット代わり”にして、他の貝をつまんで食べるという食べ方。
肩肘張らないそのスタイルが、いかにもベルギーらしく、気取らないビール片手の食卓を盛り上げてくれます。

一方、日本ではなかなか見かけることがないけれど、ヨーロッパの街角でよく出会うのが「ザクロジュース」です。

特に中東やトルコ、バルカン地方などでは、直径10センチ近くある大ぶりのザクロをその場で半分に切り、専用のプレス機でぎゅっと搾ってジュースにしてくれます。
たいていはワゴンスタイルで販売されていて、観光客にも地元の人にも大人気。

一口飲んでみると、その濃厚な甘みと酸味のバランスに驚かされます。
ザクロはビタミンやミネラルを豊富に含み、美容や健康にも良いとされていることから、行列ができるのも納得です。

旅の醍醐味は、なんといっても“その土地ならではの食”との出会いです。
最初は見慣れない食材や、慣れない味付けに戸惑うこともありますが、思いきって試してみると、自分の中の世界がふっと広がる瞬間があります。

食を通して土地の空気を感じ、人の暮らしに触れ、自分の感覚が少しだけアップデートされていく――
そんな旅の喜びを、これからも大切にしていきたいと思います。

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