死ぬ時の幸福度を左右する書類「Living will(リビング・ウィル)」とは
2022.08.13 SatみなさんはLiving will(リビング・ウィル)をご存知でしょうか?
Living will(リビング・ウィル)とは「重病になり自分自身では判断ができなくなる場合に、治療に関しての自分の希望を述べておく書類、特に、医師たちに治療を中止し死ぬにまかせてくれるよう依頼する書類」のことです。
カナダの義理の父はとても几帳面で、勤勉家でした。
80歳を過ぎてからもインターネットの使い方を学び、全くそういったことに興味のない義理の母とは対照的に、綿密に色々な事の準備をしていました。
重度の脳梗塞で倒れた時、脳内出血がかなり酷かったのですが、まだ多少会話をすることができました。
その会話は段々と意味不明のものになって行ったと聞いています。
その際、父は
「金庫を開けて用意していたLiving will(リビング・ウィル)を読んでほしい」
と言ったそうです。
そこには
・自分自身が普通の生活に戻れない状況に陥った時には、栄養補給等一切して欲しくない
・自然の流れで逝きたい
といったことが書かれていて、家族はすぐにそれを担当医に見せました。
まだLiving will(リビング・ウィル) を担当医に見せていなかった時、看護師が3人がかりで父に経鼻栄養補給をしようとチューブを鼻に差し込もうとしたら、満身の力で抵抗したそうです。
父は水以外、ほとんど何も食べたがらず、痛み止めの注射こそ打ってもらっていましたが、ひと月ほどで、自然の形で逝きました。
カナダの義父が亡くなったのが9月で、その1ヶ月前の8月には私の実の父が亡くなりました。
私の父は肺癌でした。
当然のことながら呼吸が苦しくなるだろうと思い、
「お父さん、医療従事者の9割の人が絶対自分自身にしてほしくない延命治療の1つに人工呼吸器と答えると聞いたことがあるから、最期に苦しくなっても、酸素吸入以外はやめた方がいいよ」
とアドバイスをし、父は、神妙な顔で私の言葉を聞いていたのを覚えています。
日本ではまだまだLiving will(リビング・ウィル) が普及しておらず、病気が進行してから自分で判断できずに、家族が決断を迫られることが多々あると聞いています。
家族間で意見がまとまらないまま病状が悪化し、「お任せします」という言葉で最後の選択を医者に任せてしまう家族も多いそうです。
これはとても恐ろしい一言だと私は思います。
2022年7月号の公益財団法人日本尊厳死協会 (https://songenshi-kyokai.or.jp/living will) が発行するLiving will(リビング・ウィル)には、作家・小池真理子さんの「自分の意思で幕を下ろす自由」というインタビュー記事が掲載されています。
とても興味深く読ませていただきました。
人間はいつか必ず死にます。
その死が病死か事故死か自然死か予測ができません。
そしてその死がいつ来るか、誰にもわかりません。
でもその終わり方についてある程度決めておくことは、とても重要だと思います。
みなさんもLiving will(リビング・ウィル)を考えてみてはいかがでしょうか。
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