意外で不思議な「記憶」の仕組み

2022.05.18 Wed

皆さんは記憶力に自信がありますか?

しばらく前まで、自分の記憶力に自信を持っていました。
食べ物とそれを食べた時の状況(誰と、どこのレストランまたはホテル等で、どんな話をしながら、どんな思いでいたか)をかなり鮮明に覚えていると家族から言われていたからです。
ところが、ホリスティックワークで大脳生理学を学び始め、自分の記憶力に自信が持てなくなくなりました。

そもそも記憶がどこで作られてどのようにして人間の脳の中に蓄積されるのかは、1950年代まではほとんど解明されていなかったようです。
それが解明されるきっかけになったのは、アメリカ人のヘンリー・グスタフさんという「てんかん」持ちの患者さんの治療です。

エピソード記憶は海馬で作られ、大脳皮質に保存されます。しばらくして大脳皮質に記憶を保持するタンパク質で固められて蓄積されていくのです。
その仕組みが当時はわかっていなかったので、外科医がヘンリー・グスタフさんのてんかんを治そうと「海馬」を切除してしまいました。
その後のグスタフさんは過去の記憶は思い出せても、その手術後の出来事は一切記憶できなくなってしまい、毎日会う看護師さんやお医者さんも覚えられず、なんとも不幸な生涯を送られました。

大脳皮質に保存された記憶は、思い出す度に、記憶保持のたんぱく質が取れて、記憶そのものが不安定になります。
そのときに、一緒に会話をしていた人がその記憶にまつわる別のことを発言したりすると、その新しい情報も一緒に先ほど思い出した記憶と一緒に大脳皮質に戻されるということがわかっています。
つまり私たちの記憶は、毎回想起するたびに新しい記憶に書き換えられている可能性が高いのです。

私たちが覚えている幼少期の記憶も、もしかしたら後から何度も親の発言や祖父母の発言が加わって、書き換えられたものかもしれません。
そう思うと、つくづく記憶というのは曖昧かつ神秘的なものだなと思います。

皆さんにはどんな記憶がありますか?

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