大切な仲間が離れてしまった時に思うこと

2020.01.14 Tue

「芳子さん、しばらく会っていないから、ご飯でも食べませんか?」
と先輩であり友人の経営者の方から誘われました。
起業したばかりで苦労していたときに仕事を工面してくださるなど、いろいろな面でサポートしてくれた方です。

彼は後継者問題で長いこと苦しんでいました。
静かなレストランでお会いして、開口一番こう言われました。
「芳子さん、来年で私は仕事を辞めることにしました」
「え?お辞めになるんですか?」
「株は全て従業員の持ち株に回すことにしました。誰かに継承させることは諦めました」
お父様からついだ大切な事業を一生懸命に守ってきた彼にしてみると、断腸の想いなのだろうと想像できました。

言葉を探しましたが、なかなか良い言葉が出てきません。
「これから何をするんですか?」
「全くノープランです。でも近くに土地を借りて、少し農業でもしようかと思っています。
それに奥さんの体調も良くないし、兄貴の調子も悪いから、当面親類の面倒を見ます。来年の7月まで頑張ります」
「それまでしばらくまたお付き合いくださいね」

彼と別れて外に出た時に、綺麗に澄み切った冬空を見上げて大きく息を吸いました。
約30年に渡る私の起業家としての人生を、オン&オフともに知っている人が彼です。
お互いにトラブルがあれば、それを分かち合い、聞き手となり、相談相手となっていた『同士』でした。
学生時代の友達とは異なりますが、大切な存在です。

寂しさに押しつぶされそうになりながら、必死に冷たい空気で胸を膨らませている自分に気づきました。
何事も長く続けていると、大切な仲間が突然離れてしまうこともあります。
それでもかつての仲間を忘れずに応援し、前を向くことが大切なのだと思います。

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