ビジネスでトラブルが起きた時、謝罪の前にまずやるべきこと

2016.10.12 Wed

海外とのビジネスをしていると、思わぬ出来事に見舞われることが多々あります。
またその対処方法というのが、距離がある分、大掛かりなものになることが多いのが常です。

トラブルが発生する都度、胃が痛くなるような思いをするのですが、後になると笑えるから不思議です。

今まで振り返った時に、一番大掛かりだったと思われるのが、テレビの大きなイベント(1日数回に渡るオンエアー)が行われる六日前のことです。
帰社した私に、目がうるうるした寝具の担当者が飛んできて、
「ビューエルさん、大変です。来週のイベント用の寝具の数を自分が間違えて、計算してしまい、今日改めて計算したら、ダブルサイズの掛け布団が全然たりません!」というではないですか。

その日はすでにイベントの前の週の金曜日。
ここまでオンエアーが迫っていて急に数量が足らないとなると、オンエアー打ち切りになり、取引停止になる可能性が大でした。

私はすぐに国際電話をし、メーカーの社長を捕まえて、状況説明しました。
すると、ラッキーなことに原料は十分あるので、週末特別のシフトを組んで、2000枚近いダブルサイズの掛け布団を作って、翌週エアーで出荷をしようということになりました。

ここで原料がなかったらもうアウトでした。
幸運なことに原料があり、しかも通常なら絶対に週末など仕事をしないデンマーク人が、特別なシフトを組んでくれるというのはとにかくすごいことでした。

ところが、寝具なので、2000枚といったら、しかも当時のダブルサイズは日本で言うところのクイーンサイズで一枚が210x210cmでした。
かさばるため、メーカーのスタッフが、小さな袋に圧縮して入れて、日本に着いたら再度化粧バックに入れ替えると言う計画を立てました。

テレビ局の担当バイヤーに電話を入れて、事情を話したところ、
「ビューエルさん、一体何をいっているんですか????!!!!来週の木曜日がオンエアーですよ。どうやって持ってくるつもりですか?2000枚も。」と怒鳴られました。
怒鳴られて当たり前です。この大きなイベントを決行できなかったら、バイヤーにとっても大きな失態となります。

「飛行機をチャーターして、何が何でも間に合わせます!」と答えました。
飛行機をチャーターする金額はその時点では決まっていませんでしたが、すでに作ってしまったイベント用の寝具は上代ベースで1億円を超えていました。
イベントが急に水の泡になってしまったら、こんなに大きな数量を他で販売できる場所がありませんでした。
飛行機のチャーター代が何百万円するか知りませんでしたが、そこでもう迷っている暇はありませんでした。

plane-50893_1280

バイヤーに謝罪に行くのは後ですれば良い、とにかく途中経過を着実に知らせることがその時自分にできることだと思いました。
月曜日の夕方4時がデンマークの朝9時で、その時点で貨物は全てピックアップされて、陸送でコペンハーゲン空港に向かったこと。
火曜日の夕方4時の連絡で、全て飛行機に貨物が乗って、輸出準備も整ったこと。
水曜日の夕方4時の時点で、飛行機はシンガポールに着いたこと。翌朝8時前後には日本に到着予定であること。

そして自分自身が出演するために水曜日の夜には千葉に向かいました。
オンエアーがスタートする前にバイヤーから一言。
「もし明日の朝9時の時点で、飛行機が成田につかなかったら、午前中で、オンエアーは打ち切ります。」

自分自身、人生で最悪の日だと思いました。
画面上ではニコニコ笑顔で、懸命に商品説明をし、売り上げを確保しなくてはなりません。
しかし心の中では、もしも飛行機が少しでも遅れたら。。。。。全てが水の泡になる。。。。

朝8時の回のオンエアーが終わった時に、担当が走ってきて、「ビューエルさん、飛行機が成田にさっき着いたそうです!!」と言った時には、涙が溢れました。

バイヤーも、「オンエアーは続行します。」と言うことで、終日その商品のオンエアーができ、売り上げを立てることができました。
そのバイヤーとは今でも友達です。
トラブルが起った時には、とにかく対策を最速で立てて、全力で対応すると言うのが鉄則だと思います。

日本人はすぐに謝りに行くことが頭に浮かぶようですが、謝罪は後でも間に合います。
とにかくできることを全てやり、連絡をこまめにとり、被害を最小限に抑えることが優先となるのだと思います。

関連記事

芳子ビューエル公式Facebookページ

北欧流ライフプロデュース術を発信していきます。
「いいね!」をお願いいたします。