ポルトガル人が“有名になりたがらない”理由とは?
2025.11.01 Satあなたは「ポルトガルの有名人」と聞かれて、誰を思い浮かべますか?
旅の途中、ガイドをしてくださった日系ブラジル人三世のおじいちゃまが、そんな問いを投げかけてくれました。
彼は38年前、家族とともにブラジルからポルトガルへ移住した方。ポルトガル語はもちろん、日本語も驚くほど流暢でした。
「スペイン人ならプラシド・ドミンゴやピカソ、ダリ、ナダルなどたくさん挙げられるけれど、ポルトガル人はなかなか思い浮かばないでしょう?」と彼は笑って言います。
確かにその通り。
ではなぜポルトガルには“世界的な有名人”が少ないのか——。

おじいちゃまの答えは、こうでした。
「有名になりたい人は、“私が!”という自己主張の強い人。でもポルトガル人は奥ゆかしくて、あまり目立ちたがらないんだよ。」
その言葉に、私は思わずうなずきました。
ポルトガルの街を歩くと、派手さよりも穏やかさが際立ちます。石畳の道、古い家並み、静かに微笑む人々。そこには「競うよりも、調和して生きる」という価値観が息づいているのです。
南米の歴史を見ても、スペイン領だった国々は細かく分かれたのに対し、ポルトガル領はブラジルだけ。
1500年の発見から1822年の独立まで、一度も分裂せずに続いたのは、もしかすると“穏やかな気質”ゆえだったのかもしれません。
かつて大航海時代をリードし、数々の発見を成し遂げたポルトガル。
それでも今のEUの中では目立たない存在です。
けれど、目立たないことは、決して劣ることではありません。
「静けさの中にこそ、深い誇りがある」——
そんなことを、ポルトガルの人々の微笑みが教えてくれました。
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