ノルウエーの意味深なクリスマス習慣

2023.12.28 Thu

今年のクリスマスは暖冬が続いたせいか、全く持って季節感がなく、準備が後手に回っていました。

今日はちょっと変わったクリスマスの習慣があるノルウエーについて書いてみたいと思います。
クリスマスイブになるとノルウエーでは家の中にある「ほうき」やモップを全部隠します。
ノルウエーには昔から魔女伝説があって、クリスマスイブに魔女たちが人間世界にやってきて悪さをするのを止めるためだそうです。
魔女の乗り物といったら「ほうき」ですから、その「ほうき」を隠してしまえば魔女たちが悪さをしに飛び回れないという言い伝えです。

そう聞くと、ちょっとしたメルヘンチックな習慣のように聞こえますが、実はノルウエーにはとてもダークな歴史があります。
17世紀の初頭、フィンマルク県(ノルウエー最北端)の人口は3000人ほどいたのですが、数十年間の間にそのうちの135人が魔術を用いたとして裁判にかけられて、そのうち91人が過酷な拷問にかけられて、それでも死なない場合は火炙りの刑に処せられたそうです。そのほとんどが女性だったと言われています。

当時のヨーロッパではドイツやスコットランドでも魔女狩りがあったそうですが、このフィンマルク県は最悪だったそうです。
フィンマルクでは悪魔学の教義にどっぷりと浸かった聖職者や街の有力者たちによって、女性は悪魔と契約を交わす能力があるとの信念が広められたそうです。そして何より、この北の国だからこそなのですが、北極圏は地獄の「控えの間」の地であるとの考え方が魔女狩りに輪をかけたと言われています。

中世ヨーロッパの魔女狩りでは約5万人が裁判にかけられて処刑されたそうです。

この「ほうき」を隠すという習慣は、果たして本当に魔女を恐れているのか、または無実の罪で死んでいった女性たちの魂が戻ってくることを恐れているのか、または単純に、当時の聖職者たちがどこかで罪の意識を感じていた現れなのかもしれません。

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