平穏と波瀾万丈、人生で本当に幸せなのはどちら?

2026.09.19 Sat

2、3ヶ月に一度、私は食事会を主催しています。

そこにいつも参加してくださるTさんという40代の女性がいるのですが、彼女は、私がこれまで知り合った人の中でも、おそらく一番「波風の立たない人生」を歩んできた人です。

 

アパレルショップで働いている彼女が、あるときこんなことを言いました。

「私の人生って、本当に普通の人みたいな“山あり谷あり”がなくて……本当に平らなんです」

 

そこで私は、

「え? 何かしらあるでしょう? 例えば、心臓がドキッとするような出来事とかないの?」

と聞いてみました。

 

Tさんはしばらく考えたあと、

「ショッピングモールの駐車場で、前の車のバンパーに、ちょっと自分の車のバンパーを接触させてしまったことくらいかな?」

と答えたのです。

 

これには、その場にいた参加者全員が驚きました。

そんなTさんは未婚で、お子さんはいません。

以前、食事会に参加している30代男性のYさんに赤ちゃんが生まれたときには、

「私は働いてお金を貯めても、それを渡す子どもがいるわけでもないので、Yさんの赤ちゃんに必要なものを買ってあげたいんです。何が欲しいですか?」

と、ごく自然に話していました。

その言葉を聞いた私たちは、なんとも温かい気持ちになりました。

一方、この1ヶ月ほどの私の人生はというと、Tさんとはまるで正反対です。

ジェットコースターに無理やり乗せられたあと、そのまま乾燥機に放り込まれ、タンブルドライモードでぐるぐる回されているような日々でした。

今まで築き上げてきたものが、ガラガラと音を立てて崩れていくような喪失感。

そして寂しさ。

なかなか平常心に戻ることができず、普段は「ため息なんてついても何も変わらない」と思っている私でさえ、一体何度ため息をついたかわかりません。

 

今日はラジオ番組の収録があり、いつもご一緒している松井常松さんに、番組が始まる前、この波瀾万丈すぎる1ヶ月について少しお話ししました。

すると松井さんから、

「僕だったら『今日はここに行けません』って電話していると思いますよ、ビューエルさん。そんなに素敵な笑顔で笑っていられるのが凄すぎる!」

と言われました。

 

確かに、振り返ってみれば私は昔から、比較的いろいろな出来事が起きる人生を歩んできたように思います。

一方でTさんは、本人が「何もなさすぎて困る」と言うほど穏やかな人生を歩んでいる。

次から次へと出来事が起こり、大きく心を揺さぶられる人生。

大きな波はないけれど、静かで穏やかに続いていく人生。

一体、どちらが幸せなのでしょう。

 

これまでの私は、変化があることや、さまざまな経験をすることを、どこか面白い人生だと思ってきました。

けれど今回ばかりは、Tさんの穏やかな人生を思い出しながら、「何も起こらない」ということも、実はとても大きな幸せなのかもしれない、と考えました。

 

幸せとは、刺激や出来事の多さで測れるものではありません。

かといって、波瀾万丈な人生だから不幸だとも限りません。

結局は、自分に与えられた毎日の中に、どれだけ心が安らぐ瞬間を見つけられるか。

この1ヶ月を通して、そんなことを改めて考えています。

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