北欧でも少子化?支援充実のフィンランドで出生率が下がる理由
2025.09.20 Satあなたは「子育て支援が整えば出生率は上がる」と思っていませんか?
実は北欧でも、近年は出生率の低下が深刻な課題となっています。
フィンランドは妊娠から就学までを無料で支える「ネウボラ」という制度や、若者の住居購入支援など、世界でもトップクラスに充実した子育てサポートを誇ります。それでもなお、2024年の出生率は1.26。日本の1.15よりは高いものの、2010年から2022年の間に実に29.4%も減少しているのです。

フィンランドはロシアと国境を接しており、歴史的にも戦争を経験してきました。近年のウクライナ侵攻を受けてNATO加盟を決めたこともあり、「次は自分たちの国かもしれない」という不安が人々の心に影を落としています。子どもを持つことをためらわせる一因になっているのです。
もう一つの背景は、価値観の変化です。フィンランドでは多様性を尊重する文化が根付いており、「子どもを持たない人生」や「養子を迎える選択」も広く理解されています。子どもを持つことが絶対的な価値ではなくなった結果、出生率の低下につながっている面もあるのです。
社会制度を整えるだけでは出生率の回復には限界があります。最終的には「子どもを持つかどうか」という個人の人生観に委ねられるのです。日本が学べるのは、支援制度の充実だけでなく、多様な生き方をどう尊重しながら未来への安心感をつくるか、という視点なのかもしれません。
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