なぜ北欧の夏至祭Midsummerが人々を幸せにするのか?

2025.06.17 Tue

長くて暗い冬に耐えた北欧の人々が、ようやく迎える太陽の季節――それが「夏至祭(Midsummer)」です。
スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマークなど、北欧各国で大切にされているこのお祭りは、6月の最初の新月後の金曜日に行われ、日が最も長くなる夏至を祝います。

お祭りの中心には「マイポール(Midsommarstång)」と呼ばれる木の柱が立てられます。これは針葉樹ジュニパー(ネズ)で作られ、花や緑で色鮮やかに飾られます。ジュニパーはヒノキにも似た清々しい香りが特徴で、その実からはアロマオイルも抽出されます。人々はこのマイポールのまわりで踊ったり歌ったりしながら、夏の到来を祝福するのです。

食卓には、スウェーデンのミートボールや酢漬けのニシン、ホクホクの新じゃがいもにクリームやハーブを添えた料理が並びます。さらに、いちごの収穫期でもあるこの時期には、たっぷりのベリーを使ったストロベリーケーキも欠かせません。見た目も味も華やかで、心まで満たされるようなごちそうばかりです。

そして、夏至祭のもう一つの楽しみは「花冠」。女性たちは草花でつくった冠を頭に飾り、自然と一体になるような時間を過ごします。古くから「花冠をかぶると恋愛運が上がる」と言われてきたこともあり、多くの女性たちが願いを込めて花を編む姿が見られます。

寒くて暗い冬とは正反対の、明るく温かなこのお祭り。太陽の光を全身で浴び、人々が心から笑顔になっている光景はとても印象的です。私が北欧を訪れた際も、夏至祭の陽気な雰囲気と人々の幸せそうな表情が、今でも心に残っています。

日々の暮らしのなかに、この北欧の喜びの感覚を少しでも取り入れてみるのも素敵です。たとえば、好きな花でミニ花冠をつくってみたり、ハーブを使った料理に挑戦してみたり、夕方の光の中でお気に入りの音楽を流してゆっくり過ごすだけでも、心がじんわりとほぐれていきます。

季節のうつろいを感じながら、自分の暮らしを祝い、愛おしむ時間。
それこそが、北欧が大切にしている“幸せ”なのかもしれません。

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