アメリカなのに大統領を選べない?グアム3つの意外点

2026.08.01 Sat

「アメリカなのに、大統領を選ぶ一票がない」。実は、グアムはそんな少し複雑な立場にある島です。

今回グアムを訪れ、ホテルから迎えの車に乗ったときのこと。運転手さんが突然、「トランプ大統領のことをどう思う?」と聞いてきました。

海外では、政治や宗教の話はトラブルにつながることもあるため、こちらから不用意に持ち出さないほうがよいといわれます。私も、これほど直接的に政治について意見を求められた経験はほとんどありません。

驚きながら話を聞いているうちに、グアムという島が置かれている立場について、あらためて考えさせられました。

グアムはアメリカ合衆国に属していますが、50州の一つではありません。正式には、アメリカの「自治的未編入領域」とされ、日本では一般に準州と呼ばれています。

グアムの人々には1950年にアメリカ市民権が与えられました。しかし、グアムに居住している限り、アメリカ大統領選挙の本選で投票することはできません。自分たちの暮らしに大きな影響を与える大統領を、自分たちでは選べないのです。

だからこそ、運転手さんには政治について言いたいことがたくさんあったのかもしれません。

現在のトランプ政権をどう考えるかという問題以前に、「政策の影響を受けながら、選挙には参加できない」という立場には、私たち日本人には想像しにくい複雑さがあります。

グアムの歴史は、島の旗にも表れています。

青いグアム旗の中央には、ヤシの木や海、伝統的な帆走カヌー「プロア」が描かれています。そして、その絵を囲む細長い楕円形は、古代チャモロの人々が狩りや戦いに使った投石用の石「スリングストーン」をかたどったものです。

南国らしい穏やかな風景の中に、島の人々の強さや忍耐、独自の文化が込められているのです。現在の旗につながるデザインは1917年に登場し、第二次世界大戦後の1948年には赤い縁取りが加えられました。

グアムには、複数の国に統治されてきた歴史もあります。

16世紀にスペイン領となり、1898年にアメリカへ割譲されるまで、長くスペインの影響を受けました。今も街にはスペイン統治時代の史跡が残り、カトリック文化が深く根付いています。

正確には、1565年にスペインがマリアナ諸島の領有を宣言し、1668年に宗教・軍事拠点を置いて本格的な植民地支配を始めました。そのためグアムには、チャモロ文化、スペイン文化、アメリカ文化、アジア文化が重なり合っています。

第二次世界大戦中の1941年12月から1944年7月までのおよそ31か月間、グアムは日本軍の占領下に置かれました。

日本軍はグアムを「大宮島」、現在の首都ハガニアを「明石」と改称しました。島の人々は強制労働や収容、家族との分離など、厳しい占領生活を強いられました。現在の親日的で穏やかな雰囲気だけを見ていると忘れてしまいそうですが、日本とグアムの間には、決して軽く扱うことのできない歴史があります。

一方で、現在のグアムでは日本語を少し話せる人に出会うことも多く、日本企業も数多く進出しています。長年にわたって日本人観光客を迎えてきたこともあり、日本との結びつきは今も深く感じられます。

今回は台風が通り過ぎた直後の訪問でした。日本で見ていた天気予報には曇りや雨のマークが並んでいましたが、実際にはとてもよいお天気に恵まれました。本当にラッキーだったと思います。

買い物や都会的な華やかさを求めるなら、ハワイのほうが選択肢は多いかもしれません。

けれどもグアムには、日本から約3時間半、時差わずか1時間で訪れることができる身近さがあります。長時間のフライトや大きな時差が負担になりやすい方にも、訪れやすいリゾートです。

そして、ビーチやショッピングだけでなく、旗や教会、街の名前に目を向けてみると、この小さな島が歩んできた長い歴史が見えてきます。

旅先で気になった旗や地名を一つだけでも調べてみる。たったそれだけで、いつもの観光地が、まったく違う表情を見せてくれるかもしれません。

今年の旅先をまだ決めていない方は、近くて奥深いアメリカ、グアムを訪れてみてはいかがでしょうか。

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