秋が寂しい?それでも心が満たされる理由

2025.11.19 Wed

自分が生まれた季節を“なんとなく好きだな”と思うことはありませんか?

私の母は、昔から秋があまり好きではありませんでした。
葉が落ち、枝が裸になって風に揺れている姿を見ると、どうしても寂しさを感じてしまうと言うのです。季節が移ろう景色に、胸の奥がひゅっとするような感覚。それが母にとっての秋でした。

母の誕生日は3月1日。
ちょうど季節が春へ向かい、空気の中にも希望が満ち始める頃です。
“春爛漫”という言葉がぴったりの、生まれた季節そのものが明るい印象をまとっています。

一方で、私は11月生まれ。
母とは反対に、今の季節がとても好きです。
木々が鮮やかに色づき、風に舞う葉はまるで小さなダンスのようで、むしろ幻想的でワクワクする。私にとって秋は、心がふわりと満たされる季節です。

生理的な側面から見ると、気温・湿度・日照時間といった気候条件が、無意識のうちに体に馴染んでいきます。
生まれた季節が“最初の環境”として刷り込まれ、なんとなく心地よさにつながることもあるそうです。

心理的には、誕生日の思い出や家族からのお祝いなど、その季節がポジティブな体験と結びつきやすくなります。
だから、人は自分が生まれた季節にちょっとした愛着を持つのかもしれません。

さらに、自然とのつながりで言えば、季節ごとの風景はそれぞれ独自の美しさがあります。
生まれた季節の空気感が、その人にとっての“原風景”になることもあります。

「秋は寂しい」と言っていた母ですが、今はもう外へ出る機会もほとんどありません。
施設の中で日々を過ごすようになった今、ふと考えることがあります。

──最期のときまで、季節の風をちゃんと感じられる環境であってほしい。

葉が散る秋の景色に寂しさを覚えていた母だからこそ、なおさら、風や光や匂いといった“自然の気配”が、どれだけ心を慰めてくれるものかを感じるんです。

季節は巡り、景色は変わる。
けれど、その移り変わりこそが私たちの心をそっと支えているのかもしれません。
そんなことを、母を見ていて強く思うようになりました。

ぜひみなさんも、以下のようなことをしてみてはいかがでしょうか?

・自分の“生まれた季節”にある好きなところを思い出してみる
・季節の変化を意識して、少しだけ外の空気を吸ってみる
・家族や大切な人にも、季節を感じる時間をつくってあげる

年齢を重ねるほど、“季節を感じること”は心の栄養になります。

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